イーグル工業株式会社様:グローバルに展開するSAPのデータをIDOCでリアルタイム連携。拠点間のデータガバナンス強化と業務効率化を実現

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自動車・産業機械・航空宇宙など多岐にわたる分野で、高品質なシール製品や特殊バルブを提供する独立系部品メーカーのイーグル工業株式会社(本社:東京都港区、 代表取締役社長:鶴 鉄二)は世界各国に製造・販売拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。今回、各国で個別に導入・運用されていたSAPシステムを、SAP標準の連携技術であるIDOCで連携するプロジェクトを推進。拠点間のデータ連携を自動化し、グローバルレベルでの経営基盤強化と業務効率化を実現しました。


導入前の課題:拠点ごとにサイロ化したデータと手作業による非効率

グローバルでの事業拡大に伴い、イーグル工業様ではワンインスタンスによるグローバルで統一のSAPを導入することをポリシーとし運用していましたが、以下の課題も発生しておりました。

  • データ連携における手作業の発生
    拠点間の受発注情報や在庫情報などを、一方のシステムから出力し、もう一方のシステムへ手作業で再入力していました。この作業には多くの工数がかかるだけでなく、入力ミスが発生するリスクも常にありました。
  • リアルタイム性の欠如
     データ連携が日次や週次のバッチ処理に依存していたため、グローバル全体の在庫状況や生産状況をリアルタイムに把握できず、迅速な意思決定の妨げとなっていました。
  • 例外処理の課題
    拠点ごとにデータ形式や業務プロセスが異なり、全社的なデータの標準化が困難でした。これにより、グローバル連結でのデータ分析や経営状況の正確な把握に時間を要していました。


イーグル工業 Global Technical Center

導入の決め手:SAP標準技術による信頼性と拡張性

これらの課題を解決するため、同社はグローバルなデータ連携基盤の構築を決定。複数のソリューションを比較検討した結果、SAPの標準連携方式であるIDOCの採用を決定しました。
その理由は以下の通りです。

  • 高い信頼性と安定性
    SAPシステムに標準で備わっている機能であり、世界中で豊富な実績を持つIDOCは、安定的かつ確実なデータ連携を実現します。
  • コストと開発期間の抑制
    アドオン開発を最小限に抑えることができるため、他の連携手法に比べて短期間かつ低コストでの導入が可能です。
  • グローバルでの標準化
    SAPが導入されている拠点であれば世界中どこでも適用できる標準技術であり、今後の拠点拡大にも柔軟に対応できる拡張性がありました。

主力製品であるメカニカルシール GlideX 回転型シングルスプリング


導入後のスコープ

本プロジェクトはSAPで発生する各種伝票に対して、IDOCと呼ばれるデータを生成し、SAP内およびSAP外に即時伝送して、マザープラントである日本の岡山を中心に海外7カ国の拠点と連携をしました。代表的なものとして「発注(送信)=>受注(受信)」、「出荷(送信)=> 入荷(送信)」、があり、通常送信側/受信側でマニュアル処理を行うものに対して、受信側が自動的に反映される仕組となっております。

 

図1 岡山拠点を中心とした各国のIDOC連携

導入後の効果:データ連携の完全自動化と経営のスピードアップ

IDOCによる新たな連携基盤の構築により、イーグル工業様は大きな成果を上げています。

  • データ連携の完全自動化による工数削減
    これまで手作業で行っていた拠点間のデータ入力を完全に自動化。これにより、作業工数を削減し、担当者はより付加価値の高い分析業務や改善活動に注力できるようになりました。
  • データ精度の飛躍的な向上
    ヒューマンエラーを撲滅し、データの正確性が飛躍的に向上。信頼性の高いデータに基づいた生産計画や在庫管理が可能になりました。
  • リアルタイムな経営情報の可視化
    各拠点の販売、生産、在庫といった重要データがリアルタイムで連携されるようになり、経営層はグローバル全体の状況を正確かつ迅速に把握できるようになりました。これにより、市場の変化に即応できる、データドリブンな経営体制の基盤が整いました。

 

お客様の声(IT-HQ部 主事 笠谷 哲平 様)

イー グル工業IT-HQ部
主事 笠谷 哲平 様
日本と海外の拠点間では言語の違いにより、受注登録に際して、メールや電話での頻繁な確認作業が発生しており、担当者の業務負荷が大きな課題となっていました。

IDOC連携基盤の導入後により、国内外のシステムが一体的に連携し、データ処理の自動化が実現しました。これにより、受注業務にかかる工数が劇的に削減されたほか、コミュニケーションエラーへの懸念といった精神的な負担からも解放されました。その結果、創出されたリソースをコア業務に振り向けることが可能になり、生産性の向上に繋がっています。


アルベナ社はIDOCを活用したシステム統合に関する知見が豊富で、当社の将来を見据えた拡張性の高い提案をいただけたことが、パートナーとして選定した理由の一つです。プロジェクト推進においても、現地メンバーとの間を円滑に取り持ち、きめ細やかな管理で我々を力強くサポートしていただきました。

また、稼働後のフォローも手厚く、迅速な対応のおかげで、業務を一度も止めることなく、安定したシステム運用を実現できています。


右:イーグル工業 主事 笠谷 哲平 様
左:アルベナ           取締役 金 英樹


 


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